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1 はじめに

 芋焼酎の製造はサツマイモの収穫時期に合わせ8月から12月に行われるのが一般的ですが,一年を通して芋焼酎を製造する蔵もあります。収穫期以外の製造では,多くの場合,蒸煮後冷凍されたサツマイモ(冷凍蒸芋)が使用されています。

 冷凍蒸芋は保存性に優れている一方で,仕込み前に再度蒸煮して解凍する必要があり,計2回の蒸煮がコストの増加につながっています。サツマイモを生のまま冷凍し長期間保存することができれば,蒸煮を仕込み前の1回だけにすることが可能となります。しかし,生のサツマイモは低温下で変質しやすいため,これまで冷凍した生のサツマイモ(冷凍生芋)は焼酎製造に使用されていませんでした。 今回,この冷凍生芋を用いた焼酎製造技術を開発したので紹介します。

2 実験方法

 -80℃,-20℃で冷凍した冷凍生芋を自然解凍後に蒸煮した場合と,凍ったまま直接蒸煮した場合の蒸芋の状態について比較しました。 また,凍結速度が冷凍生芋の品質に与える影響を確認するため,-80℃,-60℃で急速冷凍した冷凍生芋と,-20℃,-10℃で緩慢冷凍した冷凍生芋との蒸煮後の品質を比較しました。さらにこれらを用いて焼酎の小仕込み試験を行いました。

3 実験結果

 冷凍生芋を自然解凍後に蒸煮した場合,-80℃冷凍,-20℃冷凍の両方において,蒸芋は脱水によるパサつきと著しい褐変がみられ,蒸芋特有の甘香も弱くなったため,焼酎の製造には適さない品質と判断されました(図1)。しかし,凍ったまま蒸煮した場合の蒸芋は見た目も香りも異常はなく,焼酎製造に十分な品質を有していました(図2)。

 また,急速冷凍と緩慢冷凍どちらにおいても,凍ったまま蒸煮することで,焼酎製造に十分な品質となりました。

図1自然解凍後蒸煮した冷凍生芋
図1 自然解凍後蒸煮した冷凍生芋
図2直接蒸煮した冷凍生芋
図2 直接蒸煮した冷凍生芋

 小仕込み試験の結果,冷凍生芋を使用した場合も発酵は順調に進み,生芋と同等の良好な発酵経過を示しました。得られた焼酎の官能評価についても,生芋を使用した焼酎との酒質の差はほとんどありませんでした。

 また,香気成分のうち,サツマイモがストレスを受けると増加するとされるモノテルペンアルコールについて,冷凍生芋の試験区では生芋と同等かやや低い値となりました(表1)。この結果から,サツマイモの冷凍障害によるモノテルペンアルコールの増加は認められないことが分かりました。 表1モノテルペンアルコール

4 おわりに

冷凍生芋は保存性が高く,冷凍蒸芋とほぼ変わりなく扱うことができます。また,使用の際には新たな設備を導入する必要はなく,現在使用している製造設備で対応することが可能です。

(食品・化学部)

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