木材工業部 森田慎一
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平成9年9月末から1年間の標記海外研修を,オーストラリアのCSIRO(連邦科学産業研究機構)の林業林産部門にて行い,この度帰国しました。CSIROはオーストラリア唯一の国立研究機関で,多岐にわたる研究部門を抱えていますが,林業林産部門はオーストラリア第2の都市メルボルンにあります。この緑豊かな美しい都市で1年を過ごせたことは,私にとって大変貴重な経験となりました。
今回の私の研修課題は,「樹木成分の総合的利用に関する研究」ということでしたが,CSIRO林業林産部門の接着研究グループにお世話になり,主にそこの仕事の一部をお手伝いするという形での研修となりました。この研究グループのリーダーである矢崎義和博士は,日本で大学院の博士課程を出られてから渡豪され,もう30年もメルボルンに住んで,世界的に活躍をされておられるという方です。矢崎博士の研究グループでは,フェノール系接着剤の開発と,それを用いた材料(再構成木材という言葉を使っていました)の開発を主に行っています。CSIROでは,木材用耐水性接着剤のひとつとして,樹皮などに含まれているタンニンを利用した接着剤が開発されています。タンニンはお茶や赤ワインにも含まれていて,健康に良いと言われているポリフェノールの1種ですが,これを利用して木材の接着が可能になっているのです。
林業林産部門のあるワーク研究所のエントランス 私が最初に与えられた仕事は,タンニンを樹皮から効率良く抽出する方法について,樹皮の組織中でのタンニンの分布状態などを含めて科学的に根拠づけながら確立するということでした。これにはオーストラリアやニュージーランドで広く植林されているラジアータ・パインの樹皮を用いました。さらに,ラジアータ・パインの樹皮抽出物のうち,タンニン性を持たない成分の利用を考えるために,樹皮抽出物が菌の生長に及ぼす影響なども調べました。またこれらとは別に,東南アジアで大量に植林されているアカシアの樹皮を分析し,タンニン資源としての可能性を探るというような仕事も与えられました。このような樹皮抽出物を利用していくということは,木質資源の有効利用ということにとどまらず,今後の「持続可能な」林業・林産業を目指す上でも重要な課題のひとつと考えてこれらの仕事に取り組みました。 これらの仕事の成果は別途発表の機会もあるかと思いますのでここでは割愛しますが,ここで学んだことを今後の研究に生かし,本県の木材産業の発展に少しでも資することができるよう努めたいと考えております。 最後になりましたが,このような長期の海外研修の機会を与えてくださった県庁人事課を始め,オーストラリア滞在中にいろいろな形でお世話になりました関係各位に対して,深く感謝いたします。
週1回のミーティング風景 |